
- エアコンクリーニングの作業効率が悪くて時間が足りない
- 現場ごとの段取りがうまく組めずに毎回バタついてしまう
- 道具や洗剤の選び方が作業効率にどう影響するのか分からない
- 品質を落とさずに作業時間を短縮する方法が知りたい

このような悩みや疑問にお答えします
エアコンクリーニングの現場で、思ったより時間がかかってしまって「今日も押してるな…」と感じること、ありませんか。
作業効率を上げるつもりで頑張っているのに、実際には時間短縮どころかバタバタしてしまって、片付けやお客様への説明が雑になってしまうこともあると思います。
そんな日が続くと、体力的にもメンタル的にもじわじわと疲れがたまっていきますよね。
世の中には業務効率化や仕事効率化、生産性向上といった言葉があふれていますが、現場のエアコンクリーニングで使える具体策に落とし込めている人は意外と少ない印象です。
優先順位のつけ方や無駄削減の考え方、業務改善やタスク管理のコツ、さらには残業削減や集中力の保ち方まで、全部つながっているのに教えてもらう機会ってほとんどないんですよね。
気づいたら自己流で回していて、「このやり方が本当にベストなのか?」とモヤモヤすることもあるかなと思います。
このページでは、私が大手清掃会社時代から独立後までの現場経験を通して実感した「作業効率を上げるためのリアルな工夫」をまとめました。
エアコンクリーニングを例にしていますが、ハウスクリーニング全般の段取りにもそのまま応用できる内容になっているので、きっとあなたの現場にも役立つはずです。
実際に私が「これはやって良かったな」と思っていることだけをぎゅっと詰め込んでいます。
読み終わるころには、「とりあえず急ぐ」ではなく「どう組み立てればムダなく早く終わるか」を自分で考えられるようになっていると思います。
現場に戻ったときに「今日からこれやってみよう」と思えるような、具体的なイメージを持ってもらえるはずです。
【この記事を読んでわかること】
- 作業効率を上げるための基本的な考え方
- 訪問前の段階でやっておくべき事前準備とヒアリング内容
- 現場での具体的な動き方やスタッフの役割分担
- 作業後の説明でリピートとクレーム削減につなげる方法
作業効率を上げるには「時間のゴール」を決める
まずは私がいちばん大事だと感じている考え方からお話しします。
それは、なんとなく現場に行って作業するのではなく、「この時間までに終わらせる」というゴールを最初に決めてしまうことです。
ここがゆるいと、どれだけテクニックを覚えても作業効率は上がりにくいです。
逆に言うと、時間のゴールさえ決まっていれば、あとの工夫は自然と付いてくることが多いですよ。
なぜ終了時間を決めるだけでスピードが上がるのか
終了時間を決めると、頭の中で自然に段取りを組むようになります。
「このエアコンはおそうじ機能付きだから分解に何分、高圧洗浄に何分、組み立てと片付けで何分」と逆算するクセがついてくるんですね。
人間って、不思議と「締め切り」があると集中力のスイッチが入ります。
学校のテスト前日とか、夏休みの宿題の最終日と同じです。
逆に、終了時間が決まっていないとスタートがどうしてもスローになります。
最初は雑談が長くなったり、道具の準備がもたついたりして、気づいたときには時間が押していて後半で一気に挽回しようとするパターン。
これは体力的にもきついですし、仕上がりも雑になりやすいです。
「今日はなんか疲れたな…」という日は、だいたい前半ダラっとして後半でバタバタしていることが多いです。
終了時間を決めることのもう一つのメリットは、「今どこに時間をかけるべきか」が見えやすくなることです。
たとえば、分解に手こずっているなら、「洗浄時間を少し短くしても仕上がりは担保できるか」「片付けを2人で一気に終わらせるか」といった判断がしやすくなります。
何となく焦っているときよりも、冷静に優先順位を決められるんですよね。
さらに、時間のゴールを決めておくと、1日の体力配分も考えられるようになります。
朝イチから全力ダッシュして、夕方ヘロヘロでは意味がありません。
「1件目はこのペース、2件目は移動もあるから少し余裕を持たせよう」といった形で、自然と自分のコンディションも管理するようになっていきます。
ここまで聞くと、なんとなくイメージは湧いてきましたか?
作業効率を上げる一歩目は、この小さな意識の違いかなと思っています。
いきなり完璧にやろうとしなくて大丈夫です。
まずは「この現場は◯時までに終わらせる」と心の中で決めてから作業を始めることから、少しずつ慣れていきましょう。
「ざっくりゴール」から始めてもOK
最初から分単位で厳密なゴールを決めなくても、「午前中で終わらせる」「16時までには片付けまで完了させる」くらいのざっくりしたゴールでも十分です。
慣れてきたら、おそうじ機能付きかノーマルか、台数は何台か、設置状況はどうか、という条件ごとに自分なりの目安時間を作っていけばOKです。
この「ざっくりゴール → 具体的な目安時間」に育てていくプロセスが、そのまま作業効率アップの土台になっていきますよ。
私が1日4〜5件を回していたときのスケジュール
大手清掃会社にいたころ、繁忙期は1日に4〜5件のエアコンクリーニングを回していました。
正直、今振り返ると「よくやってたな…」と思うくらいハードでしたが、そのぶん段取りや時間の使い方はかなり鍛えられました。
ざっくりですが、当時のスケジュールイメージはこんな感じです。
| 時間帯 | 内容 | 想定作業時間(2人作業) |
|---|---|---|
| 9:00〜 | 1件目 訪問・作業 | おそうじ機能付き:90分/ノーマル:40分 |
| 13:00〜 | 2件目 訪問・作業 | 同上+移動30分 |
| 15:00〜 | 3件目 訪問・作業 | 同上 |
| 17:00〜 | 4件目 訪問・作業 | 同上 |
| 19:00〜 | 必要に応じて5件目(騒音説明の上) | 状況により調整 |
それぞれの現場に「この時間までに終わらせる」というゴールを設定し、移動時間も含めて一日の流れを組み立てていました。
おそうじ機能付きは1台90分以内、ノーマルエアコンは30〜40分を目安にすることで、どこか1件が押しても後半で調整できる余地が残ります。
もちろんイレギュラーは付きものです。
ノーマルだと思っていたらおそうじ機能付きだったり、現場で追加1台の依頼が入ったり。

「これもできますか?」と聞かれると、やっぱり断りづらいですよね。
そんなときは、すぐに次のお客様に連絡して時間調整をお願いしていました。
「前の現場で作業が長引きそうなので、◯分ほど到着が遅れそうです」と、早めに正直に伝えるようにしていました。
ここで大事なのは、「押していることを隠さない」ことです。
黙って遅れていくと、お客様は不安になりますし、不信感にもつながります。
「ちゃんとしてくれそうだから頼んだのに、連絡もない」と思われたら、その時点で信頼はかなり落ちてしまいます。
逆に、前もって連絡しておけば、大きなトラブルにはなりません。
また、この頃は、ひとつの案件に対して「ここだけは絶対に妥協しない」というポイントも決めていました。
たとえば、
- 熱交換器とファンの洗浄時間は最低◯分は確保する
- お客様への説明と動作確認は必ずする
- 養生の丁寧さは時間が押していても落とさない
こうやって「守るライン」と「短縮してもいいライン」を自分の中で分けておくと、タイトなスケジュールでもブレにくくなります。
スケジュールがキツいときほど、自分なりの優先順位が大いに役立ちますよ。
繁忙期スケジュールの注意点
ただし、こういった詰め込みスケジュールは、万人におすすめできるわけではありません。
体力や経験値、移動距離、天候などによって負担の度合いがまったく違うからです。
「この件数をこなせないとダメ」と思う必要はまったくなくて、あなたの現在地に合った件数とペースを見つけることの方が大事です。
あくまで上のスケジュールは、「ここまで詰めるとこれくらい段取りが必要になる」という一つの例として見てもらえれば十分かなと思います。
手抜きではなく段取りで時間を短縮する
「そんなに早く終わらせたら手抜きなんじゃない?」と思われることもありますが、私の感覚では真逆です。
段取りを詰めていくと、同じクオリティで自然と時間が短くなっていきます。
むしろ段取りが悪いと、同じ作業内容でもムダな動きが増えてヘトヘトになるだけなんですよね。
たとえば、こんなところを実際に見直していきました。
- 洗剤や道具を最小限かつ必要十分なものに絞る(「一応車には積んでおく」道具を減らす)
- 作業の流れごとに道具をまとめておき、現場ごとの準備時間を減らす
- ペアで行くスタッフ同士で「自分が得意な作業」「苦手な作業」を共有しておく
- 車の積み込みの場所や並べ方を固定して、探し物の時間をゼロに近づける
これを続けていくと、1件あたりの作業時間がじわっと短くなっていきます。
5分短くなれば、4件で20分、10件で50分。
「ちょっとした改善」でも、件数が増えるほど効果は大きくなります。
そのうえで、浮いた時間をしっかりお客様への説明や確認に回せば、「早くて丁寧な人」という評価につながっていきます。
段取り改善のコツは、「一気に完璧を目指さない」ことです。
現場が終わったあと、「今日の現場で、1つだけ改善するとしたらどこか?」と自分に問いかけてみます。
たとえば、
- 脚立の位置を最初に決めておけば、移動が1回減らせたな
- ホースの取り回しを先にイメージして養生すれば、床の拭き取りが楽だったな
- タオルのストックをもう少し多めに持っていれば、洗いに戻る回数を減らせたな
こんな小さな気づきを覚えておいて、次の現場で一つずつ反映させていきます。
「反省ノート」よりも、「次回の自分へのメッセージ」くらいの感覚でOKです。

作業時間はあくまで「一般的な目安」で、エアコンの設置状況や汚れ具合、天候、建物の構造などで大きく変わります。無理に時間短縮だけを追いかけると、安全面や品質が犠牲になってしまうおそれもあります。安全面や品質を優先しつつ、自分のペースを見つけていくのがおすすめです。
訪問前の段取りで8割決まる
作業効率を上げるうえで、実は現場に入る前の段階がいちばん重要だと感じています。
電話や問い合わせの時点でどれだけ情報を聞けているかで、当日のスムーズさがぜんぜん違ってきます。
現場に到着してから考えることが多ければ多いほど、作業時間は伸びていきます。
逆に、事前段取りがしっかりしていれば、「着いてからは手を動かすだけ」の状態に近づけていけます。
エアコンの設置環境を事前に確認する
まず必ず聞くのが、エアコンの真下や周りに何が置いてあるかです。
ベッドや大型家具があるのか、ロフトベッドで脚立が入るのか、キッチンのすぐ上なのかなど、ここを把握しておくだけで当日の動きが変わります。
エアコンの場所によっては、養生の量や脚立の高さ、道具の置き場まで変わってきますからね。
事前の電話で私はこんな感じで伝えています。
- ベッドや棚など、動かせるものは可能であれば事前に移動をお願いする
- 移動が難しい場合は、こちらで動かすか上から養生して対応するので無理はしなくて大丈夫と伝える
- 高齢の方や一人暮らしの場合は、「当日一緒に確認しながら決めましょう」と安心してもらう
ここまで話しておくと、当日「どうしましょう…?」とお互いに悩む時間がなくなります。
特にベッド周りは、お客様も「動かした方がいいのかな」「シーツはどうしよう」と不安になりやすいポイントです。
先にイメージを共有しておくだけで、現場の空気がかなり柔らかくなります。
また、「窓はどちら向きか」「ベランダへの動線はどうか」「コンセントの位置はエアコンの近くか」なども頭の片隅に置いておくと、当日の動きがラクになります。
これは慣れてくると電話の短いやり取りの中でも、ある程度イメージできるようになってきます。
ヒアリングのチェックリスト例
私が電話でざっくり確認している項目を、簡単なチェックリスト風にまとめるとこんな感じです。
- エアコンの設置場所(リビング/寝室/子ども部屋など)
- エアコンの真下にある家具(ベッド・テレビ・棚など)
- 家具を動かせるかどうか(力仕事が難しい場合はこちらで対応)
- パーツの洗う場所(浴室・ベランダ・外のホース)
- 駐車場は借りれるか
- オプションの抗菌コートはするか

全部聞けなくても、「特に気になりそうなところ」だけでも聞いておくと、かなり違いますよ。
メーカー・型式と製造年から難易度を読む
エアコンクリーニングでは、事前にメーカーと型式、製造年を聞いておくと段取りの精度が一気に上がります。これだけで、
- おそうじ機能付きなのかノーマルなのか
- 分解に時間がかかるタイプかどうか
- 経年劣化によるリスクが高いかどうか
といった情報がだいたい読めます。
メーカーごとに「分解しやすい型」と「かなりクセのある型」があるので、型式が分かれば頭の中でだいたいの作業時間が組み立てられます。
製造年については、私は「10年」を一つの目安として見ています。
製造から10年以上経っているエアコンについては、必ず事前に「メーカーにパーツ在庫がない可能性が高いため、経年劣化による破損は保証の対象外になることが多い」と説明しています。
そのうえで、「できる限り丁寧に作業しますが、リスクもあることをご理解いただけると助かります」と正直にお話しします。
この説明を先にしておくと、万が一トラブルがあったときも「そんな話聞いていない」という行き違いを防げます。
あとからバタバタするより、最初に少し時間をかけてでも丁寧に伝えておいた方が、結果的には作業効率も精神的な負担も軽くなります。
「言いにくいことほど、先に柔らかく伝える」のがコツかなと思います。
型式を聞くと、お客様の中には「エアコンにそんな表示ありましたっけ?」と戸惑う方もいます。
その場合は、「エアコン本体の右下あたりにシールが貼られていて、英数字が並んでいるところがあるんですよ」など、見つけ方もセットでお伝えするとスムーズです。
それでも分からなければ、当日現場で確認する形でもOKです。
駐車場とパーツ洗い場を押さえておく
意外とバカにならないのが、当日の駐車場探しやパーツ洗い場をどうするかで悩む時間です。
特に都心部やマンションが多いエリアでは、「どこに車を停めるか」「どこでパーツを洗うか」が決まっていないと、現場到着後の30分くらいがあっという間に溶けていきます。
電話の段階で、私は次のような点を確認しています。
- 自宅の駐車スペースが使えるのか(何台分・車高制限はあるか)
- マンションなら、来客用駐車場の有無やコインパーキングの場所
- パーツは浴室で洗うのか、ベランダや外の水道を借りるのか
あらかじめ情報があれば、コインパーキングを事前に調べておくこともできますし、ホースやマットなど必要な道具も準備できます。
到着してからアタフタしないことが、そのまま作業効率を上げることにつながります。
駐車と洗い場のトラブルあるある
よくあるのが、
- 近くにコインパーキングはあるけれど、満車続きでグルグル回ることになった
- 浴室を使わせてもらう予定が、当日になって「実は汚れていて…」と気にされてしまう
- 外の水道があると聞いていたが、ホースをつなぐ蛇口ではなかった
こういったトラブルは、少しの会話とイメージのすり合わせでかなり減らせます。

「うちはどうだろう?」と不安そうなお客様には、「当日、使いやすい場所を一緒に相談させてくださいね」と伝えておくと、安心してもらいやすいですよ。
オプションと支払い方法を先に決める
作業後にバタバタしがちなのが、オプションと支払いの話です。
ここも、訪問前にある程度決めておくとスムーズです。
エアコンクリーニングの場合、代表的なオプションは抗菌コートや防カビコート、室外機洗浄などですね。
私は電話の段階で、
- 抗菌コートを希望されるかどうか
- 室外機は今回は見送るのか、あわせてクリーニングするのか
- 支払い方法(現金・カード・その他キャッシュレス決済)の希望
- 領収書が必要かどうか、宛名は個人名か屋号か
といった点を、なるべくサラッと聞くようにしています。
あくまで「押し売り」にならないようにしながら、選択肢としてお伝えするイメージです。
抗菌コートは、私の感覚だとエアコンクリーニングのお客様の6割前後が希望されます。
事前に確認しておくことで、必要な薬剤の在庫やスプレーボトルの本数を調整できますし、単価も事前にお伝えしておけるので、会計時のモヤモヤを減らすことができます。
支払い方法もあらかじめ共有しておけば、現金ならお釣りを多めに用意できますし、カード決済なら端末や回線のチェックも前もって済ませておけます。
特に独立して間もない頃は、「お釣りが足りない」「端末がうまく通信できない」といった小さなトラブルが精神的なダメージになりがちなので、ここを潰しておくだけでも、かなり気持ちがラクになります。
作業効率を上げるというのは、「現場での手の動き」だけではありません。
事前の説明・料金の透明性・支払いのスムーズさも含めたトータルの流れを整えていくことで、「作業が早くて、対応もわかりやすい人」という評価につながっていきます。
現場で作業効率を上げる具体的な動き方
ここからは、実際に現場に入ってからの話です。
作業効率を上げるには、「誰が」「いつ」「何をするか」をあいまいにしないことが大事です。
特に2人作業のときは、役割分担ができているかどうかで時間もクオリティも変わってきます。
もちろん一人作業でも、「今の自分はどの工程に集中しているか」を意識するだけでムダはかなり減らせますよ。
2人作業の役割分担の基本パターン
私がよく組んでいた2人作業のパターンは、こんな感じです。
- Aさん:エアコン本体の分解・本体洗浄・組み立て・試運転
- Bさん:高圧洗浄機のセット、養生、外したパーツの洗浄・拭き上げ、片付けの先行作業
ポイントは、どちらか一方が「手持ち無沙汰」な時間を作らないことです。
たとえば、
- Aさんが分解している間に、Bさんは高圧洗浄機のホースや電源、排水バケツのセットを済ませておく
- 本体洗浄が始まったら、Bさんはパーツ洗いに集中し、終わったものから拭き上げて並べておく
- 本体洗浄が終わって組み立てに入るころには、パーツも乾いていて、すぐに組み付けられる状態にしておく
こうして流れを決めておくと、「次どうします?」みたいな確認の会話が減り、作業に集中できます。
作業効率を上げるというより、ムダな会話と立ち止まりを減らすイメージですね。
新人さんとペアを組むときは、相手のレベルに合わせて役割を細かく区切ります。
たとえば、「分解は自分がやるので、その間に脚立の固定と床の養生をお願い」「洗浄中は、パーツ置き場のタオル交換と洗い場の水はねチェックをお願い」というように、具体的に言葉で伝えます。
2人作業のコミュニケーションのコツ
2人作業をスムーズに回すコツは、「作業の前に1分だけ打ち合わせする」ことです。
「自分はこっちをやるので、◯◯さんはこっちをお願いしますね」と軽く確認しておくだけで、その後の動きがかなり変わります。
現場でよくあるのが、「お互い気をつかいすぎて、同じ作業を二重にやってしまう」「逆にどちらも手を出さずに放置される工程ができてしまう」というパターンです。
これを防ぐために、最初の1分がすごく大事なんですよね。
道具と洗剤の選び方でスピードが変わる
道具と洗剤の選び方も、作業効率に直結します。
いろいろ試して感じるのは、「万能そうな道具を増やしすぎると、かえって遅くなる」ということです。
あれもこれも車に積んでいると、必要なものを取り出すのに時間がかかるだけでなく、現場での判断も遅くなってしまいます。
現場では、「これを使えばこの工程が一手早くなる」という視点で道具を選んでいます。
たとえば、
- ホースの長さや巻き取りのしやすさ(片付けにかかる時間が変わる)
- 養生テープの粘着力と剥がしやすさ(あとでノリが残らないか)
- ブラシのサイズと硬さ(細かい部分に入りやすいか、素材を傷めないか)
- ポンプの圧力やノズルの形状(狙ったところにしっかり当てられるか)
洗剤も同じで、「なんとなく強いから」ではなく、素材を傷めずに短時間で汚れを落とせるものを選ぶようにしています。
強ければ強いほど良いわけではなく、すすぎ回数が増えれば、それだけ時間もかかります。
洗浄力と作業時間、素材への優しさのバランスを取りながら、少しずつ自分の「定番セット」を作っていく感じです。
私は、新しい洗剤や道具を試すときは、いきなり現場で全面投入せずに、部分的にテストするようにしています。
たとえば、
- 1台のうち、片方のファンだけ新しい洗剤で試して仕上がりを比較する
- ブラシを変えてみて、作業時間や手の疲れ方がどう変わるかを体感する
- 養生テープを変えて、剥がしたあとにノリ残りがないかをチェックする
こうやって少しずつ検証していくと、「この組み合わせが一番ラクで安心」という自分なりの答えが見えてきます。
洗剤選びについては、私が実際に使っているものをまとめたハウスクリーニング必須アイテムの記事も参考になると思います。
洗剤や道具の効果は、環境や素材によって差が出ます。
ネットの評価はあくまで目安として、自分の現場で少しずつ試しながら「これなら安心して使える」というラインを見つけていくのがおすすめです。
特に強い薬剤を使う場合は、換気や手袋・マスクの着用など安全面にも十分注意してください。
無駄な動きをなくすための動線づくり
作業効率を上げるうえで、意外と盲点なのが「動線」です。
- 養生と道具の置き場が遠くて、毎回行ったり来たりしていないか
- パーツ洗い場とエアコンの位置関係が悪くて、何度も往復していないか
- タオルやウエスの置き場が決まっておらず、毎回探していないか
こういった「ちょっとした往復」が積み重なると、1件あたりの時間がどんどん伸びていきます。
歩数で言えばたいしたことがないように見えても、それが1日3件、5件と積み重なると、体への負担もかなり違ってきます。
私は、現場に入ったらまず、
- 作業前に「この部屋のベースキャンプ」を決める(道具とタオルをまとめて置く場所)
- そこにウエス・洗剤・細かい道具をまとめて置く
- パーツ洗い場との間は、できるだけ障害物を減らしておく
という流れで動線を作ります。
ベースキャンプの位置を間違えると、作業中ずっと「行ったり来たり」が続くので、ここは最初に1〜2分だけ使ってしっかり決める価値があります。
「歩数を減らすゲーム」だと思ってみる
動線づくりの感覚をつかむには、「歩数を減らすゲーム」だと思ってみるのがけっこうおすすめです。
「この現場は、今より5往復少なくできないかな?」と考えてみるだけでも視点が変わります。
たとえば、「脚立に乗る前に必要なものをすべて手元にそろえておく」「ホースやコードの取り回しを先にイメージして、足元のひっかかりを減らす」など、小さな工夫を積み重ねていくと、作業効率も安全性も一緒に上がっていきます。
作業後の説明でリピートとクレーム減少につなげる
作業効率を上げると、「早く終わらせたからさっさと帰ろう」となりがちですが、ここで手を抜くとリピートと紹介のチャンスを逃してしまいます。
最後の10分の使い方が、次の依頼につながるかどうかを分けると言ってもいいくらいです。
スピードと同じくらい、「安心感」を渡せているかどうかも大事なポイントです。
洗浄前後を見せて安心してもらう
私が意識しているのは、「エアコンを組み立てる前に説明する」ことです。
カバーを外して熱交換器やファンが見えている状態で、
- どの部分にカビやホコリがたまっていたのか
- どのような洗剤と方法で洗浄したのか
- 今後どれくらいのペースでクリーニングすると安心か
といった点を簡単にお話しします。
「ここが特に汚れていました」「ファンのこの部分にカビがついていたので、しっかり落としておきました」など、具体的に伝えると、お客様もイメージしやすいです。
そのあとで、バケツの汚水を実際に見てもらうと、やっぱり驚かれる方が多いですね。
「こんなに真っ黒だったんですね…」という反応をいただくことが多いです。
この「見える化」をしておくと、早く終わったとしても「手抜きされた」と感じにくくなります。
むしろ、「こんなに汚れが取れたなら、この人に頼んでよかった」と思ってもらいやすいです。
説明が苦手な人ほど「型」を決めておく
口ベタなタイプの方は、「うまく説明できる自信がない」と感じるかもしれませんが、あらかじめ話す内容の型を決めておくとラクになります。たとえば、
- 「ビフォーの状態の説明」
- 「どんな作業をしたかの説明」
- 「アフターの状態と今後の目安」
という3ステップを毎回繰り返すイメージです。
慣れてくると、1〜2分でサクッと説明できるようになりますし、お客様も毎回同じ流れで聞けるので安心しやすいです。
最後の一言で「いつでも相談できる関係」を作る
集金や決済が終わったタイミングで、私は必ず、
「今日の作業で気になる点や、今後エアコンの水漏れや臭いなどのトラブルがあれば、遠慮なくご連絡くださいね」
とお伝えしています。
これだけで、お客様の表情がふっと柔らかくなることが多いです。
「なにかあっても、この人なら相談できそう」という気持ちになってもらえると、こちらとしてもすごくやりやすくなります。
トラブルが起きるかどうかは、どれだけ丁寧に作業してもゼロにはなりません。
だからこそ、「何かあったら言いやすい雰囲気を作っておく」ことが大事だなと感じています。
実際、「あのとき言ってくれたので連絡しました」と言われると、「言葉を添えておいてよかったな」と心から思います。
名刺と一言メモのセットも効果的
私は、名刺と一緒に簡単なメモを渡すこともあります。
たとえば、
- 「次回の目安:1〜2年に1回くらいがおすすめです」
- 「冷房使用時にポタポタ水が落ちるようなら、早めにご連絡ください」
といった一言を書いておくだけでも、「この人はちゃんと考えてくれている」と感じてもらいやすいです。
こういう小さな一工夫が、リピートや紹介につながっていきます。
トラブルが起きたときの基本スタンス
過去には、水漏れや臭いのクレームをいただいたこともあります。
ただ、その多くは、落ち着いて状況を聞き、可能な範囲で対応することで解決してきました。
大事なのは、「言い訳より先に状況の確認」と「自分にできること・できないことを正直に伝える」スタンスです。
エアコンの水漏れについては、原因がいくつかに分かれます
。たとえば、
- ドレンホースの詰まりや逆勾配
- 熱交換器の結露量が多くなっているケース
- 断熱材の劣化や設置時の施工の問題
- 内部パーツの経年劣化や破損
などが代表的です。
「クリーニングしたから必ず水漏れした」というわけではなく、もともとの設置状態や経年劣化が表面化するタイミングが、たまたまクリーニング後だったというケースもあります。
とはいえ、お客様からすれば、「掃除したあとに水が漏れ始めた」という事実がすべてです。
そこに対して、「いや、もともとの問題で…」と先に言ってしまうと、関係性がギクシャクしてしまいます。
まずは話をしっかり聞いて、一度現場を見に行けるかどうかを検討することからスタートするのが良いかなと思います。
エアコンの水漏れについては、現場でよくあるケースをまとめたエアコンから水漏れする原因と対処法の記事も用意しているので、あわせて見てもらえるとイメージしやすいと思います。
独立後も作業効率を上げ続けるための工夫
作業効率を上げるのは一度きりのイベントではなく、独立してからもずっと続くテーマだと感じています。
現場の数が増えるほど、「もっとラクにできないかな」「ここ改善できそうだな」というポイントが見えてくるからです。
仕事のスタイルが変われば、効率の上げ方もアップデートしていく必要があります。
道具と車に投資して時間を買う
独立してから特に実感しているのが、「道具と車への投資は、そのまま時間を買うことになる」ということです。
積み込みしやすい車、取り出しやすい収納、使いやすい高圧洗浄機やホースなどは、毎日の作業効率に直結します。
最初は「少し高いかな」と感じる投資も、1年・2年と使っていくと十分元が取れるケースが多いです。
私自身、最初は中古の軽バンからスタートしましたが、メンテナンスや積載のしやすさを考えて途中で買い替えました。
その結果、現場でのストレスが減り、作業効率も上がりました。車のリアゲートを開けたときに、「どこに何があるか一目で分かる状態」になっているかどうかで、準備と片付けにかかる時間が全然違います。
道具についても、「安いからとりあえずこれでいいや」と選んだものは、結局すぐ壊れたり使いづらくて買い替えたりすることが多かったです。
それよりも、現場でのストレスが減る道具にお金をかけた方が、結果的にコスパが良かったなと感じています。
車選びや道具については、独立準備の視点も含めてハウスクリーニングで独立に必要な準備の記事にも詳しく書いています。
「お金を節約すること」と「時間と体力を節約すること」は、必ずしも同じではありません。
独立後は、どこにお金をかけてどこを抑えるかを自分で決めていくことになりますが、道具や車は「時間と体力の節約」につながる部分だと私は思っています。
ITツールで事務と顧客管理を軽くする
作業効率を上げるというと現場の動きだけに目が行きがちですが、実は事務や顧客管理もかなり大きなウェイトを占めます。
ここがアナログすぎると、せっかく現場を早く終わらせても、夜に事務作業でヘトヘト…なんてことになりがちです。
「現場が仕事で、事務はおまけ」ではなく、どちらもビジネスの一部という感覚が大切かなと思います。
基本的には、
- 売上や経費は会計ソフトで一元管理する
- 顧客情報と作業履歴はスプレッドシートやクラウドサービスにまとめておく
- 問い合わせ対応にはテンプレートを用意しておく
といったシンプルな形でも、十分効果があります。

私も独立直後からクラウド会計ソフトのやよいの青色申告オンライン
を使っていますが、売上・経費・レシート管理が自動化されるので事務作業の時間が一気に減りました。
→ 最大3か月無料でお試し
(詳しい料金と機能は各公式サイトでチェックできます)
特に顧客管理については、リピートや紹介につながる大事な資産なので、少しずつ整えていく価値は大きいです。
たとえば、「◯年◯月にリビングのエアコンを2台クリーニング」「小さいお子さんがいる」「ペット(猫)がいる」といった情報が残っているだけでも、次回の提案や会話がスムーズになります。
問い合わせ対応のテンプレートも、時間と心の余裕を守ってくれます。
「料金はいくらですか?」「所要時間はどれくらいですか?」といったよくある質問に対して、ベースとなる文章を用意しておけば、あとは現場ごとに少し調整するだけで返信できます。
毎回ゼロから文章を考えるのは、それだけでかなりのエネルギーを使いますからね。
事務用品やツール選びについては、ハウスクリーニングの事務用品をまとめた記事も参考になると思います。
いきなり完璧を目指さず、「まずは顧客リストだけ整える」「次に会計だけクラウドに移行する」と段階的に進めていくのがおすすめです。
失敗メモとチェックリストでミスを減らす
作業効率を上げるうえで、同じミスを繰り返さないことも重要です。
私は、現場での失敗やヒヤッとしたことを簡単にメモしておき、それをチェックリストに反映するようにしています。
たとえば、
- 脚立を立てる位置を間違えて壁をこすりそうになった
- 養生テープの粘着が強すぎて、剥がすときにクロスを傷めかけた
- 高圧洗浄の飛び跳ねを読み違えて、壁や床が濡れそうになった
- 作動確認が不十分で、あとから電話でフォローすることになった
こういった「ヒヤリハット」を、その場限りで終わらせないようにするだけでも、作業効率と安全性は一緒に上がっていきます。
集中力に頼るのではなく、仕組みでミスを減らすイメージですね。
チェックリストは、「現場に入る前」「作業中」「作業後」と3つのタイミングに分けて作ると使いやすいです。たとえば、
- 現場前:道具・洗剤・養生・名刺・お釣り・駐車場所の確認
- 作業中:ブレーカー位置の確認、養生の最終チェック、試運転の実施
- 作業後:動作確認、お客様への説明、汚れやゴミの持ち帰り確認
といった感じです。
最初は少し手間に感じるかもしれませんが、一度テンプレートを作ってしまえば、あとは慣れです。
チェックリストを見ながら動くことで、「あ、これ忘れてた」がどんどん減っていきます。
失敗やヒヤリハットは、決して「ダメな自分の証拠」ではありません。
それをメモして次に活かせるかどうかが、独立してからの成長スピードの差になっていくと感じています。
まとめ:作業効率を上げると心にも余裕が生まれる
作業効率を上げるというと、「とにかく早く終わらせること」と勘違いされがちですが、私の感覚では、
- ムリ・ムダ・ムラを減らして、同じクオリティを短い時間で出せるようにすること
- お客様への説明や気配りの時間を確保すること
- 自分とスタッフの体力とメンタルを守ること
この3つをバランスよく実現していくイメージです。
スピードだけを追いかけると、どこかで必ずムリが出てきます。
でも、段取りや仕組みを整えながら作業効率を上げていけば、「早くて、丁寧で、続けられる」現場スタイルに近づいていきます。
そのためには、
- 終了時間というゴールを決めて逆算する
- 訪問前のヒアリングで情報を集めて段取りを組む
- 現場では役割分担と動線を意識してムダを削る
- 作業後の説明とフォローの一言を大事にする
このあたりを少しずつ整えていくだけで、作業効率はじわじわと上がっていきます。
「今日は前回より5分早く終わったな」「この前改善したポイントがうまくハマったな」と感じられるようになると、仕事自体もどんどん楽しくなっていきます。
作業効率を上げることは、売上や時間だけでなく「心の余裕」を生むための大事な投資だと私は思っています。
焦っているときほど、一度立ち止まって段取りを見直してみてください。
必ずどこかに、改善できるヒントが隠れています。

あなたの現場でも、「今日のうちに一つだけでも試してみようかな」と感じたものがあれば、ぜひ取り入れてみてくださいね。少しずつでも、確実に現場がラクになっていくはずです。
\実際に現場で使っているハウスクリーニングおすすめ洗剤&道具/
独立開業を目指すとき、最初に悩むのが「どんな洗剤や道具を揃えればいいのか」「経理や顧客管理はどうするのか」、そして「一人で不安になったときに頼れる場所があるのか」という点ではないでしょうか。
私自身、開業当初は同じように迷い、必要のないものを買ってしまったり、逆に本当に必要な道具が抜けていて現場で困った経験があります。
また、事務作業に追われて時間を失ったり、孤独感に押しつぶされそうになったこともありました。
そうした失敗や試行錯誤を経て、「これだけは導入してよかった」と胸を張っておすすめできるものがいくつかあります。
それが 『洗剤・道具・会計ソフト・コミュニティ 』の4つです。
これらを揃えることで、作業効率が大きく向上し、顧客からの信頼も得られ、さらには安心して長く続けられる基盤が整いました。

私が現場で実際に使って「これは間違いなく役に立つ」と感じたものだけをまとめました。これから独立開業される方の参考になると思いますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
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【この記事を書いた人】

清掃業歴20年以上、累計1万件以上の現場を経験。
大手清掃会社に14年間勤務し、現場管理やスタッフ育成、顧客対応を通じて豊富なノウハウを習得。
42歳で独立後は、住宅・オフィス・店舗清掃を中心に活動中。
このブログでは、清掃業での独立ノウハウ、集客術、現場トラブル解決法などを実体験に基づいて発信しています。

